もう一度、恋を灯して、消さないで
「なにこれ…お守り?」
座っていた石段の下に、水色のお守りが落ちているのに気づいて拾い上げる。
そこに書いてある文字を見て、拾わなければよかったとまたもや後悔した。
『恋愛成就』と書かれた可愛らしいお守り。
「………」
妙なものを拾ってしまった…そう思わざるを得ない。
こういうのは絶対持ち主がが探しに来るパターンだから元の場所に戻したほうがいいような気もするし、かといってこのまま放置しておくのもなんだか気が引ける。
そもそも落とした場所を覚えてなかったら、だいたい行き着くのは事務所的なところだろう。
それならそこに届けた方が一番手っ取り早いような…。
「もう…なんで私がこんなに悩まなきゃならないの」
このお守りの持ち主が誰かも分からないのに、何をこんなに一生懸命になっているんだろうか。
…悩んでたって仕方がない。
ここは社務所に届けるのが最適解だと考えて、早速足を動かす。
参道に出てくると、言わずもがな人の多さが尋常じゃなかった。
っていうか、社務所ってどっちだったっけ…?
ただでさえ人が多くて思うように進めないのに、ここらどうやって向かえばいいんだろう。
人の波に自ら飛び込む勇気もないし、どうせ潰されるのがオチだ。
「…嫌だけど、行くしかない」
仕方なく覚悟を決めて、一歩踏み出そうとしたら。