もう一度、恋を灯して、消さないで

しかも、ただの知り合いと数日ぶりに合ったみたいな顔をされて……。



ほんと、むりだから。



「っ…」



両手をぐっと握りしめ、少し開いた唇を固く結ぶ。



「…早葵?」



ずっと黙り込んだままの私を心配する流星の声が、脳内に響いて苦しい。



…やめて、その声で私を呼ばないで。



「どうかした?もしかして、また人酔いしてる?」



“また”とか、二年間も会ってなかったくせに、彼氏ヅラしないでよ。



今のあなたにとって、私は特別でもなんでもないんでしょ?



だから、そんなに平然としていられるんでしょ…?



………それなら、もう。



「早葵、大丈夫…?動けそうなら、一旦静かなところに移動しよう」



出会いたく、なかった。



「…っ私、帰るから」



そう言って身を翻した瞬間に、涙がボロボロと溢れてきた。



これがなんの涙なのかもわからないまま、彼に背を向けて全速力で走って。



「っ…流星のバカ」



心臓が、押しつぶされてしまうんじゃないかと思うほどに痛かった。
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