女騎士と大賢者の結婚
2 意識 ミトラスSide
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ミトラスの朝は遅い。太陽が昇りきった後に身体を起こすと、ブランケットが落ちた。
このところ毎回ブランケットを掛けられており、ミトラスは気遣われているような錯覚に陥る。もちろん、そんなはずはない。
「僕が何を作っているか知らないから、こんな真似が出来るんでしょうね」
凝り固まった肩を回しつつ、朝昼兼用の食事を摂ることにする。あまり褒められた真似ではないが魔法で調理をこなすとミトラスは手を合わした。
「いただきます」と「ごちそうさま」を唱えるようになったのが、セミラと暮らして唯一変わった部分か。その他は大差ないと分析の傍ら、咀嚼と嚥下を繰り返す。
大賢者の食卓は必要な活力を得られるだけの料理が並び、それを黙々と食べる。
騎士団長セミラとの共同生活は懸念した程までは酷くなかった。基本すれ違いの生活なので衝突しないで済むし、セミラは食事の際の挨拶が大きい以外は静かにしている。
持て余した体力で森を探索しているが、荒らしているとの報告も上がってこない。
無害とは言わないものの、邪魔にはならない同居人。それがミトラスからセミラへの評価。
「そうやって女の子にまで点数を付けるのは良くないよ、カァ」
「……来てたのか。御主人様の考えをよむんじゃない。鬱陶しい」
「カァカァ、よみたくなくても使い魔なんだから分かっちゃうんだよ!」
窓辺に一羽のカラスが現れる。ミトラスの使い魔だ。
「それで? 騎士団の様子はどうだ?」
「ミトラス様の悪口で盛り上がってた。口が悪い、性格が悪い、女癖が悪いーー使い魔の扱いが悪い、使い魔が可哀想にってね」
「それはそれは。主観を交えた報告、どうもありがとう」
ミトラスの朝は遅い。太陽が昇りきった後に身体を起こすと、ブランケットが落ちた。
このところ毎回ブランケットを掛けられており、ミトラスは気遣われているような錯覚に陥る。もちろん、そんなはずはない。
「僕が何を作っているか知らないから、こんな真似が出来るんでしょうね」
凝り固まった肩を回しつつ、朝昼兼用の食事を摂ることにする。あまり褒められた真似ではないが魔法で調理をこなすとミトラスは手を合わした。
「いただきます」と「ごちそうさま」を唱えるようになったのが、セミラと暮らして唯一変わった部分か。その他は大差ないと分析の傍ら、咀嚼と嚥下を繰り返す。
大賢者の食卓は必要な活力を得られるだけの料理が並び、それを黙々と食べる。
騎士団長セミラとの共同生活は懸念した程までは酷くなかった。基本すれ違いの生活なので衝突しないで済むし、セミラは食事の際の挨拶が大きい以外は静かにしている。
持て余した体力で森を探索しているが、荒らしているとの報告も上がってこない。
無害とは言わないものの、邪魔にはならない同居人。それがミトラスからセミラへの評価。
「そうやって女の子にまで点数を付けるのは良くないよ、カァ」
「……来てたのか。御主人様の考えをよむんじゃない。鬱陶しい」
「カァカァ、よみたくなくても使い魔なんだから分かっちゃうんだよ!」
窓辺に一羽のカラスが現れる。ミトラスの使い魔だ。
「それで? 騎士団の様子はどうだ?」
「ミトラス様の悪口で盛り上がってた。口が悪い、性格が悪い、女癖が悪いーー使い魔の扱いが悪い、使い魔が可哀想にってね」
「それはそれは。主観を交えた報告、どうもありがとう」