女騎士と大賢者の結婚
控室の一角、どす黒い空気を放つ花嫁がいる。今年夫婦となる者達が集まる中、雰囲気から切り離されたように浮いていた。
「やぁ、花嫁さん。ご機嫌はどうだい?」
セミラは臆することなく話し掛け、周囲にも軽く会釈する。
「……はぁ、いいはずがないでしょう」
くるりと見返るミトラスは手鏡を握りしめ、眉を吊り上げた。
「似合っていると思うが?」
「えぇ、えぇ、そうでしょう、当たり前です。僕は今、街で一番愛らしいのは疑う余地もない」
恥じらうどころか、出来栄えに自信を持つ。現に彼の変身は目が眩む美しさを放ち、まるで絵本から抜け出してきたみたい。
ただし、カツンッと踵を鳴らして立ち上がると見上げる背丈、それから逞しい肉付きを感じる。
「はは、しかしドレスがきつそうだな。針子は?」
「こちらは貴女のドレス。せっかく賜わった品に手を加えられません」
「え、あっ」
セミラは裾上げしてしまったミトラスの衣装をみ、バツが悪くなった。
「構いませんよ。貴方は警護をする立場ですし、丈の合わない服じゃ支障が出るでしょうに」
「それで女王の挨拶を聞きに来なかった?」
「さぁ、どうでしょう? この姿を茶化されたくないからかも知れませんね」
「茶化すもなにも、とてもーー美しい」
「やぁ、花嫁さん。ご機嫌はどうだい?」
セミラは臆することなく話し掛け、周囲にも軽く会釈する。
「……はぁ、いいはずがないでしょう」
くるりと見返るミトラスは手鏡を握りしめ、眉を吊り上げた。
「似合っていると思うが?」
「えぇ、えぇ、そうでしょう、当たり前です。僕は今、街で一番愛らしいのは疑う余地もない」
恥じらうどころか、出来栄えに自信を持つ。現に彼の変身は目が眩む美しさを放ち、まるで絵本から抜け出してきたみたい。
ただし、カツンッと踵を鳴らして立ち上がると見上げる背丈、それから逞しい肉付きを感じる。
「はは、しかしドレスがきつそうだな。針子は?」
「こちらは貴女のドレス。せっかく賜わった品に手を加えられません」
「え、あっ」
セミラは裾上げしてしまったミトラスの衣装をみ、バツが悪くなった。
「構いませんよ。貴方は警護をする立場ですし、丈の合わない服じゃ支障が出るでしょうに」
「それで女王の挨拶を聞きに来なかった?」
「さぁ、どうでしょう? この姿を茶化されたくないからかも知れませんね」
「茶化すもなにも、とてもーー美しい」