女騎士と大賢者の結婚
「結婚式といえば、私に新しい衣装を仕立てるのか?」
「まさか金色の鎧を纏いたいとか、猪の仮装をしたいなどと言わないですよね?」
「さ、流石にそこまでは。女王から賜わった品があるし」
「……はぁ」
ミトラスが大きな溜息を吐く。
「セミラはあの時、僕が女装した意味を理解していないんですね」
プイッと横を向き、拗ねてみせる。ミトラスには意外と子供っぽいところがあって、日々表情が豊かになっていった。
「私が着るのを戸惑っていたからだろう? そのくらい分かってるさ」
「違います! 一生に一度しかない花嫁衣装なのに、あんな事情で身に付けさせたくなかったからです! 貴女には僕が最高のものを用意したい」
声音に独特な甘さが混じり、セミラは頬を染める。あれほど苦痛であった女性として扱われることが、今となっては嬉しくて。
「ありがとう」
照れつつ礼を告げ、ミトラスへ寄り掛かる。
「僕はね、ありがとう、すまない、頂きますにごちそうさまをしっかり言えるセミラが好きですよ?」
「え? あぁ」
「今、僕がどんな言葉を求めているのか、分かりませんか?」
「ここで言うのか? 誰かが聞いているかも知れないじゃないか!」
愛の言葉を要求されると、セミラは勢いよく立ち上がった。日常的な挨拶ならともかく、愛情を示すのは慣れない。どうしても照れてしまう。
「まさか金色の鎧を纏いたいとか、猪の仮装をしたいなどと言わないですよね?」
「さ、流石にそこまでは。女王から賜わった品があるし」
「……はぁ」
ミトラスが大きな溜息を吐く。
「セミラはあの時、僕が女装した意味を理解していないんですね」
プイッと横を向き、拗ねてみせる。ミトラスには意外と子供っぽいところがあって、日々表情が豊かになっていった。
「私が着るのを戸惑っていたからだろう? そのくらい分かってるさ」
「違います! 一生に一度しかない花嫁衣装なのに、あんな事情で身に付けさせたくなかったからです! 貴女には僕が最高のものを用意したい」
声音に独特な甘さが混じり、セミラは頬を染める。あれほど苦痛であった女性として扱われることが、今となっては嬉しくて。
「ありがとう」
照れつつ礼を告げ、ミトラスへ寄り掛かる。
「僕はね、ありがとう、すまない、頂きますにごちそうさまをしっかり言えるセミラが好きですよ?」
「え? あぁ」
「今、僕がどんな言葉を求めているのか、分かりませんか?」
「ここで言うのか? 誰かが聞いているかも知れないじゃないか!」
愛の言葉を要求されると、セミラは勢いよく立ち上がった。日常的な挨拶ならともかく、愛情を示すのは慣れない。どうしても照れてしまう。