心霊物語 街の怪異
「本当はそんな名前なんかないんだけど、神隠しにあう人が多いから、そう呼ばれるようになったんだ」

私は、最初の見出しを読みはじめた。


神社が建てられたのは、戦後すぐのこと。

神社は子供達の遊び場になっていた。

その神社には、神主さんの娘の紗夜という女の子がいた。

紗夜は病弱で、外に出て遊ぶことがなかなかできなかった。

ある日の夕方。

その日、いつもより体調が良かった紗夜は、外で鞠をついて遊んでいた。

その日、神社に来ていた子供たちとも仲良くなり、一緒にあそんだ。

そして、みんなでできる遊びをしようと、かごめかごめをやることになった。

紗夜を真ん中にしてみんなが歌い始めた。

かーごめかーごめ

かーごのなーかのとーりいは

いーついーつでーやる

よーあーけのばーんにー

つーるとかーめがすーべった

うしろのしょーめんだーあれ

久しぶりに友達と遊ぶことができた紗夜は、とても喜んだ。

また明日も遊ぼうと、みんなと約束をした。

しかし、その日の夜に高熱を出してそのまま亡くなってしまった。

両親は、供養をして安らかに成仏してくれるよう手を合わせた。


紗夜が亡くなって、数ヶ月が経った。

神社に遊びに来た子供たちが、紗夜の幽霊を見たと言い出した。

目撃した子に話を聞くと、神社でいつものように遊んでいたら、歌が聞こえてきたらしい。


かーごめかーごめ

かーごのなーかのとーりいは

いーついーつでーやる

よーあーけのばーんにー

つーるとかーめがすーべった

うしろのしょーめんだーあれ

それは、かごめかごめの歌だった。

歌が終わると、目の前に紗夜が現れたのだ。

子供たちが驚いていると、その中の一人に声をかけて、手に持っていた鞠をわたした。

その鞠を受け取った子は、目の前で消えてしまったそうだ。

それで慌てて、神主を呼びに来た。

神主も他に人を集めていなくなった子を探したが、見つからなかったそうだ。

そしてさらに、何ヶ月か過ぎた頃、いなくなった子供が神社で倒れているのを発見された。

大人たちが話を聞くと、ここ数ヶ月のことは何も覚えていないと言った。

それからも、夕方になると亡くなった紗夜が、一緒に遊んでくれる友達を探して、現れることがあるそうだ。

読み終わって、私は桐ヶ谷くんを見た。

「これって…」

「出てくる方法がわかった。試してみよう」
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