心霊物語 街の怪異
次の日の夕方、私たちは、神隠し神社にやってきた。

桐ヶ谷くんが、紙に書いた五芒星を地面に置いた。

そして一体の紙で作った人形を真ん中に置いた。

その時、

かーごめかーごめ

かーごのなーかのとーりいは

いーついーつでーやる

よーあーけのばーんにー

つーるとかーめがすーべった

うしろのしょーめんだーあれ

かごめかごめの歌が聞こえると、赤い着物を着た女の子紗夜ちゃんが現れた。

「一緒に遊ぼう」

そう言って鞠を差し出してきた。

「紗夜ちゃん、お願いがあるの。私のお友達を返してくれないかな?」

紗夜ちゃんは、よく分からないというように首を傾げた。

「私は、一緒に遊ぶお友達を探してただけだよ」

「なら、代わりにこの子を連れていくといい」

桐ヶ谷くんが、紙人形を差し出した。

「わかった。いいよ。お姉ちゃんのお友達返してあげるね」

強い風が吹いた。

目を開けると、紗夜ちゃんは消えており、代わりに未来ちゃんが、地面に倒れていた。

「未来ちゃん!」

私は急いで駆け寄った。

「あれ?奈々ちゃん?私、どうしてこんなところにいるの?」

未来ちゃんにいなくなっていた時のことを尋ねたが、ここ三日ほどの記憶がないのだと言った。

私は、未来ちゃんを家に送り届けたあと、家に帰った。

途中で、桐ヶ谷くんに尋ねた。

「紗夜ちゃん似わたした、紙の人形はなんだったの?」

「あれは昔から身代わりとして使われている紙人形。

紗夜ちゃんには、あれが人間の姿に見えていたと思うよ。ついでに成仏できるようにまじないもかけておいたから、もう出てくることはないと思う」

また桐ヶ谷くんに助けられた。

そして、桐ヶ谷くんの謎はまた深まった。
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