きっと散りゆく恋だった
ーー夏祭り、アイツと一緒に行くようになったのはいつからだっけ。
「マミ、帰るよー」
「あ、はーい」
私は親友のスズネに呼ばれて、慌てて鞄を持ちその背中を追った。一人でいると、くだらないことに思考が落ちていく。今がまさにそうだった。
「暑いねー。かんっぜんに夏だわこれは」
「ほんと、日差し強くないのにこんなに暑いのはバグだと思う」
休日の午前練が終わり、私とスズネは帰路につく。中学生までは午前練のあと遊ぶ、という選択肢があるほど自由のきくカラダだったけれど、どうにも高校生になるとそれが難しくなることを知った。
はやくも身体の老いを感じていてなんとも言えない感覚になる。
子供ってどうしてあんなに無邪気なんだろう。どうして昔の私はあんなに無邪気にいられたんだろう。
子供は、ただひたすらに純粋で、いつだってただ好きな気持ちだけで物事に取り組む。好きだから一緒にいる。
好きだからーーこの気持ちがぐるぐると絡まって鎖のようになることは、決してないのだ。
分かれ道で、スズネが「じゃね」と私に手を振った。生い茂った緑色の雑草が、風に揺れている。
「うん、またあしたー」
「どんまいマミ。明日は部活ないですー」
「うわ、がちか。よかったー、教えてくれて」
サンキュ、と親しい間柄である彼女にしかしない軽率な感謝を述べ、私も家へとカラダの向きを変える。
しばらく歩いていると、突然後ろから「マミ」と呼び止められた。
< 1 / 12 >