きっと散りゆく恋だった

ーー夏祭り、アイツと一緒に行くようになったのはいつからだっけ。

 
「マミ、帰るよー」

「あ、はーい」


 私は親友のスズネに呼ばれて、慌てて鞄を持ちその背中を追った。一人でいると、くだらないことに思考が落ちていく。今がまさにそうだった。


「暑いねー。かんっぜんに夏だわこれは」

「ほんと、日差し強くないのにこんなに暑いのはバグだと思う」



 休日の午前練が終わり、私とスズネは帰路につく。中学生までは午前練のあと遊ぶ、という選択肢があるほど自由のきくカラダだったけれど、どうにも高校生になるとそれが難しくなることを知った。
 はやくも身体の老いを感じていてなんとも言えない感覚になる。

 子供ってどうしてあんなに無邪気なんだろう。どうして昔の私はあんなに無邪気にいられたんだろう。


 子供は、ただひたすらに純粋で、いつだってただ好きな気持ちだけで物事に取り組む。好きだから一緒にいる。

 好きだからーーこの気持ちがぐるぐると絡まって鎖のようになることは、決してないのだ。



 分かれ道で、スズネが「じゃね」と私に手を振った。生い茂った緑色の雑草が、風に揺れている。


「うん、またあしたー」

「どんまいマミ。明日は部活ないですー」

「うわ、がちか。よかったー、教えてくれて」



 サンキュ、と親しい間柄である彼女にしかしない軽率な感謝を述べ、私も家へとカラダの向きを変える。


 しばらく歩いていると、突然後ろから「マミ」と呼び止められた。
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