君のカラダに触れたい
「えっ、本当に!?………ごめんね、巻き込んで」


黒百合さんは俺の手をそっと握ろうとした。



…が、

その手は虚しく、俺の手を空ぶった。


「…見えても、触れられないんだね、誰にも。」


黒百合さんは少し悲しそうな顔をして、自分の手をキュッと握った。



「オッ、俺が黒百合さんに触れてみせます」


さっきまで細めていた目を急にまん丸くして黒百合さんは俺の方を見た。


…ちょっと、今の発言キモかったかな。


「そのー、つまり、あー、何かしら方法はあるはずでしょ?だから安心して…下さい。」


何が安心できるかは分からないが。

言いながら恥ずかしくなって、顔が熱くなる。



それを見たからかは分からないが、ふふっと黒百合さんの笑い声が聞こえた。

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