君のカラダに触れたい
「待っ…てください。」


黒百合さんの目を見るのが怖くて、下を向いて言う。

木の葉の音がザワザワとして、緊張感を際立たせる。


呼吸をするのすらまともに出来ない。


怖い。




「そっ、その犯人以外に、なんも罪は何も無いはずですよね。罪のない人をわざわざ殺さなくても…」


「何、否定するの?」


ピシィ…と張り詰めた空気が漂う。

あ、黒百合さんは今、俺に怒っている。



「私だって、私たちだってなんの罪もないのに殺されたよ!!殺されたんだよ!!!ただ生きてただけなのに!!!!」


黒百合さんは、喉を壊しそうなほど荒げた声をあげて、目を大きく開けて涙目で訴えた。


その言葉は正論だった。


黒百合さんの息が、ヒューヒューと音を立てている。


苦しそうだ。


この人は本当に、辛くて、苦しくて、憎くてたまらなかったんだろう。



何も言葉を返せず、ただ、俯いていることしかできなかった。



20分くらい、無言の時間が過ぎた。

急に黒百合さんが口を開いた。



「あ、ごめんね!安心して!雄大くんに殺させたりはしないよ。」


その言葉を聞いて、ガクッと肩を下ろした。




でも、


「じゃあ、どうやって殺すつもりですか。」
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