君のカラダに触れたい

大丈夫だよ


元のキラキラの目に戻った黒百合さんは、ニコニコと俺の話を聞く。


「あー、あのね、幽霊はね、憎悪の感情が爆発すると、悪霊になるの。」



笑顔のまま話す黒百合さん。



だけど、気のせいか?

少し伏せられた瞳の奥に、悲しげなものを感じる。



「ふーん、悪霊ですか。黒百合さんには似合わないっすね。」



「あはは…、そうかな。」


黒百合さんは、明らかに暗いトーンで笑った。

本当は、人殺しとか、悪霊になるとか、望んでいないのだろう。

わかりやすい癖して、そういう感情を隠すつもりで笑顔で話す黒百合さんに、少しだけイライラしてしまった。



「あのねっ、悪霊になったらね、物に触れたり、ものを操ったりすることが出来るようになるの。だからね、どんな事故でもどんなことでも簡単に…」


「似合わないです。」

無理して喋る黒百合さんの声なんて聞きたくない。


だから、



黒百合さんには触れられないけれど、黒百合さんを包み込むように、黒百合さんの後ろに腕を回した。
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