ひとりぼっちの夜に、君を照らす月をかじりたい
そこには由紀ちゃんことゆっきーと理沙ちゃんがいた。私は鞄を持って三人の元に行く。
「私、部活行ってくるね」
「おー、行ってらっしゃい。頑張ってね!」
「頑張ってね~」
「お、頑張れー」
そう言うと、知夏、ゆっきー、理沙ちゃんがそれぞれに応援の言葉をかけてくれる。私はそんな言葉たちにやる気と元気をもらって、笑顔で頷いた。
「うん、ありがとう! 行ってくるね」
みんなに見送られ、私は一人先に部室に向かった。
部室に入ると、そこには先客がいた。澤矢爽汰先輩だ。
「あ、夕夏ちゃん。今日も早いね」
ちょうど胸の位置に胸当てを付け終えた先輩が朗らかに微笑んでそう言った。
「あ、はい……今日は先輩に先を越されましたけど」
人気者の先輩と二人きりだという状況がなんだか気まずくて、私は目を逸らして呟いた。
「ははっ。なんか悔しそうだね」
「べ、別に悔しくはないです! 私、着替えてきますので!」
声を荒げる私を見て先輩はまた声を上げて笑い、たくさんの弓矢が立てかけてある所から自分の矢を取り、さっそく練習に入った。