ひとりぼっちの夜に、君を照らす月をかじりたい
「あ、あの……」
「何ですか?」
「───好きです。俺と、付き合ってください」
⁉⁉
心臓が大きく跳ねる。突然の告白に私の目が限界まで見開かれる。
え……っと、待って、どういう状況?
頭はハテナでいっぱいだ。
ドクンドクンと強く鼓動を打つ心臓の音が、やけに大きく聞こえる。目の前の彼に聞こえてしまうんじゃないかと心配になるレベルだ。
状況をすぐには飲み込めず、ぽかんとした間抜けな表情のままでいる私を、少年は真剣な目をして見つめてくる。
熱のこもった少年の瞳が、私を捕らえて離さない。息ができなくなるくらい、じっと見つめられる。
「っ、……付き合うって、どういう意味、ですか」
情けなく声が裏返ってしまう。気を抜くと、私を射抜くまっすぐな瞳に吸い込まれそうになる。
私はそれ以上その瞳と目を合わせられなくなり、勢いよく俯いてその視線から逃れた。
……だって、出会って数分で好きだと言われてもどんな反応をしていいか分からないから。頬にじわじわと熱が迫り、顔が真っ赤になっていることを自覚する。
あんなに寒かったのに、今は少し暑いくらいだ。
「俺の、残りの人生と付き合って欲しい。そういう意味です」
「えっ……と、無理です」
二つ返事でそう答えた。理由も意味分かんないし、何より怪しすぎる。