ひとりぼっちの夜に、君を照らす月をかじりたい
「……っ」
バッサリと切った私の返事に、すぐさま絶望したような表情を浮かべる彼。
どうしてそんな顔をするんだろう。
私と出会って数分で告白して、フラれて絶望して。訳の分からない行動を連発する彼に、思わず疑いの目を向けてしまう。
「その返事、変えることはできませんか」
彼の真摯な瞳が、私を射抜いた。とても、熱くて強い藍色の瞳。
「変える、というと?」
何となく彼のことが怖くなり、震えた声が口から漏れ出る。
「俺のことを、好きになって欲しいです。すぐにだなんて言いません。だけど、これだけは譲れないんです」
「譲れない理由は、何……? それと、私たち初対面だよね? それなのにどうして告白なんてするの」
「っ、……それは、言えません。でも俺は、どんな手を使ってでも君と付き合いたい」
それくらい好きだから、と付け足す白銀の頭をした男の子。だけど、告白した理由は話せないらしい。
………ほんと、訳が分からないよ。
「ごめんなさい。告白した理由も話せないような人とは付き合えないです。それに、私たちやっぱり初対面だし……」
「俺と付き合えない理由は、それだけ?」
そう訊かれ、一時思考停止した。
男の子の瞳は、フラれた後でもまっすぐだ。