ひとりぼっちの夜に、君を照らす月をかじりたい
「え、?」
「初対面だから、付き合えないって理由じゃ俺は引けない。俺のことが生理的に無理とか、嫌いとかなら仕方ないけど」
さっきから、目の前の男の子が何を言っているのかさっぱり分からない。
私、告白は丁重にお断りしたよね……?
馬鹿みたいに再確認してしまうほど、男の子の言い分はめちゃくちゃだ。これは、一筋縄ではいかなそうだな。
「……友達としての付き合いだったら、いいよ」
一瞬で脳内をフル回転させ、たどり着いた答え。今の私に提示できる最大限の条件はこれだけだ。
「それって、俺と一緒にいてくれるってこと?」
期待半分、不安半分のわんこみたいな瞳に見つめられ、私はぎこちなく頷くしかなかった。
……若干語弊があるような気もしなくはないけれど。
「ほんと、に……? やった、良かった」
一言一句、しみじみと呟く彼の心の中は、一体どうなっているのだろう。
「良かったって、……本当に訳分かんない」
私に告白した理由を教えてくれない彼に、わざと愚痴のようなものをぶつける。
そんな私に視線をやった彼の表情は、何とも言えない複雑さで満ちていた。
「あ、……ごめん。一人でこんなに盛り上がって。君に告白した理由も話せないのにね」
「……いや、私の方こそごめんなさい。今のは、あなたを困らせるだけの発言だった」
「いや、君が謝る必要は全くないよ」