一生分の、恋をした
閉じた目に、光が差し込むのを感じる。


朝6時、いつもと同じ時間に詩が目を覚ます。


学校に行く用意をしないと、と思ったが、ここは病院だということにすぐ気がついた。



─そっか…私入院してるんだった。



また学校の出席日数が減ってしまうことに、どんよりとした気持ちになった。


それに、体は引き続き熱っぽく、だるい感じがする。


あまり食欲がないまま朝食を半分食べる。


残した朝食が片付けられ、体のだるさを感じながら詩がうとうとしていると、綾人と萌音が部屋に入ってきた。




「詩、おはよう」


「…おはよう」


病気のことになるとすぐ怒る綾人のことを少し警戒しながらも、幼馴染の顔を見てほっとする自分もいることに気がつく詩だった。



聴診され、体温を測られる。


「熱は…38.3℃か。昨日より上がってるな。体は起こさなくていいから寝ながら聞いてくれ」


検温を終え、綾人が話しだす。



「昨日も言った通り、昨日の血液検査では貧血の状態だった。少し気になることがあるから、今日はもう少し詳しい検査をするから」



"貧血"と"検査"という響きに、詩の体がこわばる。



嫌でも母と同じ白血病の闘病の日々を思い出してしまうのだ。


でも、私は毎月喘息で通院していて、血液検査も受けていた。


喘息以外、何も指摘されたことはない。




「何か重い病気なの…?」


「…それはまだわからない。問題ない可能性もあるから、一度検査してみよう」


綾人の苦しそうな表情を見て、綾人が何かを疑っていることを察する詩だった。


「…わかった。よろしくお願いします」



スタッフたちによって、着々と検査の準備がされていった。







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