一生分の、恋をした
こんな笑顔、いつぶりだろうか。

小さい頃から変わらない八重歯が見え、懐かしさに綾人の表情が少し緩む。


しかし、すぐに医者の顔に戻り、話を続ける。


「ただし、条件がある」


「なに?またお薬が増えるの?」


「…それもあるが、今のお前には、一人暮らしはさせられない。」


「え…?誰かと住めってこと?でも、頼れる親戚とか近くにいないし…」


綾人は腕を組み、より表情を固くしながら、言いにくそうに口を開く。



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