一生分の、恋をした
急変
ナースステーションから、萌音が駆けつける。


「詩ちゃん!」



座りながら胸を押さえ、顔色が蒼白になっている詩を見つける。


急いで酸素を最大量に上げ、脈を測る。


「脈が弱い…詩ちゃん、大丈夫よ!先生呼ぶね!」



萌音がPHSで綾人を呼ぶ。


数分後、綾人が大急ぎで駆けつけた。



「どうした!?」


「先ほどから胸痛を訴えて、心拍が微弱です!意識レベルも落ちています!」


顔から血の気が消えていた。


一目見て危険な状態だと悟る綾人。



「詩…!わかるか!詩!」



苦しそうに浅い呼吸をしながら、リクライニングベッドに体を預ける詩の肩を叩く。

力なく、うっすらと目を開ける詩。


「あや…と…」


「詩!しっかりしろ!」


「…ごめんね…」





その時、詩の体から力が抜ける。


「詩?」


心電図から、けたたましいアラーム音が鳴る。


不規則な波形に、綾人と萌音は息を飲む。


「先生…!」

「…心室細動…!?おい!詩!」


祈るような気持ちで頸動脈に触れるが、脈拍は感じられなかった。



「そんな…!詩!しっかりしろ!起きろ!…永田さん、心停止だ!救命と循環器科の先生を集めて!」


「…はい!」


萌音がナースコールで応援を呼んだ。





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