一生分の、恋をした
「朝9時、詩の心臓が止まった」



10時過ぎに綾人から送られてきたメッセージを読んだ陸は、萌音とともに綾人の家に急いで駆けつけた。


部屋に入ると、薄暗い寝室で、綾人が詩を胸に抱いたまま動けなくなっていた。



「…綾人。長月さんを、ベッドに寝かせてあげようか」


放心状態の綾人に代わり、陸が詩をベッドに運ぶ。


直前まで苦しんでいたとは思えない、穏やかな美しい顔だった。


「詩ちゃん、よく頑張ったね」


─呼吸、脈拍なし。瞳孔も…反射なし



「10時32分、死亡確認しました」


すすり泣く萌音。


一方で、涙が枯れた綾人は、死亡宣告もどこか他人事のように感じてしまっていた。


ただ、何も考えられず、動けない。



「綾人。長月さんをきれいにしてあげような…」


陸が綾人の肩を抱く。


「綾人はちょっとリビングに行ってようか。永田さん、エンゼルケアを頼む」


「わかりました」


綾人は陸に肩を支えられ、部屋を出ていった。











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