聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

16

 マルティーナとパウラはこの日を心待ちにしていた。
 約束してからというもの、毎朝顔を合わせるたびに、あと何日か確認し合うほどだった。

「準備オッケー?」
「ええ。オリビアに描いてもらった地図もこの通りばっちり持ったわ」

 学院が休みの今日、買い物に出かける予定なのだ。

「ウーゴさんとは、正門で待ち合わせ? 辻馬車でなくてよくなったって聞いてるけど、どうやって商店街まで行くの?」
「ウーゴが誘った男子が、家の馬車を都合つけてくれたんだって」
「B組の人かしら? 馬車を所有しているってことは、たぶん貴族よね? 誰かしら……」
「えーっ、私大丈夫かな? 貴族の人とお出かけなんて、粗相しそう……」

 表情を曇らせたパウラを、マルティーナは笑いながら睨め付けた。

「私だって一応、ルーボンヌでは伯爵令嬢だったんだけど?」
「でも、マルティーナは貴族っぽくないし」
「ひどーい!」

 と言ってみたものの、マルティーナはすぐに噴き出してしまった。
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