聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
「僕なら馬車を用意できる。装飾のないお忍び用だが、サスペンションは上等で、乗り心地が保証できる馬車だ」
「それで?」
「……頼む。僕に同行させてほしい」
「まあ、及第点かな。本当なら、ルーカスの気持ちを打ち明けてほしいところだけど」
「だ、誰にも言わないでくれ!」
「見損なわないでくれよ。その辺の分別はちゃんとあるって」
「本当かー?」
ウーゴは訝しむルーカスにこぶしを突き出してきた。
「応援するよ」
ルーカスもこぶしを作り、それに突き合わせた。
「信じるよ」
(前世では学院に通わず、家庭教師から学んだだけだったから、こういう友人もいなかったな)
そう思うと、弱みを握られてしまったとはいえ、これはこれで悪くないように思えた。