聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

「だ、大丈夫。そのことについてはきちんと謝罪してもらっているわ。今は普通に話せるの」
「そうなの? なら、マルティーナは一緒に行くことでいい? 無理してない?」
「無理……」

(……はしていないわ。だけど、問題はそこじゃないと思うのよね。ルーカス様を私たちの個人的な買い物に付き合わせていいものかしら?)

 ルーカスのほうをちらっと見ると、ばっちり目が合ってしまった。
 コソコソ話していたつもりが、興奮してつい声が大きくなっていた。
 恐らく丸聞こえだったのだろう。
 所在なさげに立っていた。

(準備をして来てくれたのよね。馬車の手配までして……)

 マルティーナから声をかけずにはいられなくなってしまった。

「本日はどうぞよろしくお願いします」
「あ、ああ。任せてくれ」

 ルーカスがほっとしたように顔を綻ばせた。
 それを見てパウラもおずおずと寄ってきた。

「あの……パウラと言います。私もよろしくお願いします」
「君の話はウーゴからいつも聞いているよ。こちらこそよろしく」

 その王子様スマイルに、パウラの色眼鏡ははずれた。
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