聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
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馬車は、カジュアルな既製品を扱う洋品店の前で停まった。
若い客層に人気らしく、王都情報誌にも掲載されていて、マルティーナたちもドンピシャで行きたいと思っていた店だ。
「リーズナブルな値段だが、品質はいいと評判なんだ」
ルーカスは、情報誌に載っている文面そっくりな説明をした。
店の奥まで入ったのはマルティーナとパウラだけで、ルーカスとウーゴは入口近くで待っていた。
「ね、これは? 畑仕事するときに、動きやすそう」
「本当。でも、この色は私には難しい気がするわ」
「ならあっちのは? 優しい色がマルティーナにすごく合いそう!」
「あっ、待って。パウラに似合いそうなの見つけたわ
」
あれこれ目移りしてしまう。
(退屈していないかしら?)
しかし、横に並んでお喋りをしながら、こちらを眺めているだけのルーカスたちも、なんとなく楽しんでいるように見えた。
マルティーナの視線に気づくと、ルーカスはごく自然に微笑んでくれた。
『ゆっくり選んでいいよ』と言ってくれているみたいだ。
実際、どれだけ待たされようと気にしないでくれるだろう。
お陰で吟味することができ、満足のいく作業着と部屋着を購入できた。