聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

18

 研究室で悩んでいるのはベルナル先生だ。

「神聖魔法については少しずつ解析が進んできたが……最初のステップである神聖力にアクセスするにはどうすれば?」

 入学してから季節はとうに変わっていた。
 マルティーナに週1で神聖魔法を使ってもらっているお陰で、ベルナル先生の慢性的な疲労はすっかり癒され、健康体になっていた。
 四十路だというのに肌ツヤまでよくなってしまい、『アラサー』だと言っても、うっかり通用してしまいそうだ。
 外見に無頓着すぎて、ボサボサ頭に無精髭だから、周りにあまり気づかれずに済んでいるが。

「高地にあって、天に近いルーボンヌ神国のみで、神聖力にアクセスできる体質の人が生まれるという可能性はありませんか?」

 ルーカスの質問に、マルティーナの表情がさっと曇った。
 ルーカスは迂闊な発言をしてしまったことに、しまったと思った。

(学院にいられる理由がなくなると思い込まなければいいが……)

 マルティーナが自分にとことん自信がないらしいことが、ルーカスにもわかってきていた。
< 117 / 220 >

この作品をシェア

pagetop