聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
 
「マルティーナ君は空気中に存在する神聖力を感知できるんだったね? それは生まれつき? それとも何かきっかけがあったのかい?」
「神聖力のほうは、明確なきっかけがありました」
「そのときのことを話してもらえるかい?」
「はい。神学校に入学して1ヶ月くらいしてからでした。授業で教わった通りに、神聖魔法を使う前に神へお祈りを捧げました。そのとき、初めて自然魔力に隠れていた何かが、チカチカッと合図してきたというか、瞬きしたように感じました。それが神聖力でした」

 ベルナル先生は『ふむふむ』と少し考えて、それからおもむろに尋ねた。

「神へのお祈りというのは何か特別な? たとえば呪文のような……」
「いいえ。ごく一般的なお祈りです」
「なら、神学校に入る前にも機会はなかったのかい? ほら、教会とかで。そのときには神聖力は感じられなかった?」
「神学校に通っていたほかの学生たちは、そういう場で初めて神聖力を感じることが多かったようです。ですが、私にはそういう経験はありませんでした」

 マルティーナは右手を左腕に回し、ぎゅっと握った。
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