聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

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 翌日の放課後ルーカスは学習室で、マルティーナが園芸部の水やりと草取り作業を終えるのを待っていた。
 さっそく試験勉強をみてあげることにしたのだ。

「君の習熟度を知らなくて、最低限必要な学習時間がよめないから」

 実際にはマルティーナとふたりきりで勉強会ができるのだと思うと、はやる気持ちを抑えられなかっただけのことだったが、そんなダサい建前を使ってしまった。

(見え透いていただろうか?)

 若干不安ではあるが、たぶん大丈夫だろう。
 マルティーナは心底よろこんでくれていたから。

 園芸部が管理する畑が見えないのはわかっていたが、マルティーナを待つ間、窓の外を眺めていた。

(そろそろ来る頃だろうか……)

 廊下から足音が聞こえてくるたびに、期待してドキドキしてしまうのだった。
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