聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
「ところで、取り込んだ魔力を体内で魔法に変換するというやり方は神聖魔法も?」
「そうです。神聖魔法は誰でもその方法です。といっても、私の場合は治癒魔法しか使えないんですけどね」
「それはなぜなのか訊いても?」
マルティーナは肩をすくめ、淋しそうに微笑んだ。
「私にも理由はわかりません。皆と同じようにやっていたはずなんですが……もしかしたら、浄化や祝福魔法をイメージして作る能力を、生まれる前にどこかに置いてきてしまったのかもしれません」
「ツラいことを訊いてしまってすまなかった」
『いいえ』と短く答えて、首を横に振る姿が痛ましい。
「単魔法の覚え方をメモしたノートは、この週末にでも帰省して取ってこよう。ブランカ宮殿の件を父上に頼むつもりだったから、ちょうどいい」
「ブランカ宮殿……」