聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

(何か思うところがあるのか? 『ブランカ宮殿』のワードに顔が曇るということは、やはりヴァレリアなのか?)

 鼓動が一気に早くなった。
 『君はヴァレリアだったのか?』と直球で問えば早いのだが、そうすると自分の前世が誰なのかも明かさないといけなくなる。
 自分がアーロンだったことに気づいていないなら、知らないままでいてほしい。

 祈りにも近い気持ちで、マルティーナの瞳を覗いた。

「あの……」
「う、うん?」

 気道が詰まって、うまく呼吸ができない。

「訪問時には、何を着ていけばいいでしょうか?」
「……へっ?」

 間の抜けた声になってしまった。
 しかし、今度こそと思ったのに、2度目の肩透かしを食らってしまったのだから仕方がない。
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