聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

「正装でないとマズいでしょうか? ですが留学には不要だと思い、1着も持ってきていないんです……」

(そんな……こと?)

 マルティーナの顔が赤く染まっていく。
 彼女にとっては大ごとなのだろう。

(僕が呆れていると勘違いさせてしまっただろうか?)

「ふ、普通でいい。ほら、この前外出したときのような。あっ、もし心配なら、学院の制服を着てきたらいい!」
「制服! それがいいですね。そうすることにします。ありがとうございます」

 今日だけで、前世ヴァレリアと会話した量よりもたくさん話している気がした。

「とりあえず明日から週末までは、別の科目を勉強することにしようか?」
「はい。なら、古典魔法をお願いできますか?」
「もちろん」

 前期試験が終わるまで、放課後はこんなふうにマルティーナと過ごせるのだと思うと、ルーカスの胸はほくほくした。

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