聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

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(うっわー! やっぱりそうなるよな……)

 マルティーナと並んで学習室に入った自分を見た途端、ルーカスは王子の品格が台無しになりそうなほどがっかりした。

「ダメでした? 事前に確認を取らなくてごめんなさい。ふたり同時に教えるのは負担ですか?」
「いや、いい。びっくりしただけだ」

 ルーカスはしゅっと顔を引き締めた。

(面白ろ。惚れた弱みってやつだな。マルティーナさん経由なら、何でもお願い聞いてもらえそう)

 笑いが漏れそうになり、ウーゴも口元を引き締めた。

「頼むよ。俺、古典魔法が本気でヤバいんだ。で、マルティーナさんにちょっと愚痴を吐いたんだ。『俺ら留学生には、アンダルイドの古語が使われてる古典魔法まで勉強しろ、なんて無茶だよなー』って。そうしたら、勉強会に誘ってくれたんだよ」

 ウーゴにしたって、できれば友人の恋路の邪魔はしたくなかった。
 しかし、自力ではどうしてもお手上げなのだ。
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