聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
「俺もこの前本屋に行ったときに、マルティーナさん推薦の古語辞典買っときゃよかった」
「辞典はどれでもいいだろう。古典魔法がわからないのを辞書のせいにするな。何がわからないんだ。言ってみろ」
「わー、ルーカス! 恩に着る!」
ウーゴとマルティーナは、ルーカスを挟むようにして座った。
ルーカスはどちら側にも平等に見えるように、自身の正面に教科書を開いて置くことにした。
ウーゴとマルティーナが交互にわからない箇所を指していけば、ルーカスが説明し、ふたりは各自のノートに書き込んでいく……といったふうに勉強会は進んでいった。
「なんだ、すんなり理解できるじゃないか」
試験範囲になっている最後のページまできたとき、ルーカスが拍子抜けだとでも言わんばかりに、小さくため息を吐いた。
「自分だといくら教科書読んでても全然意味がわかんなかったの。ルーカスがめちゃくちゃ噛み砕いて説明してくれたらわかったんだって」
「ふーん」
「お世辞とかじゃなくて本当に。ね、マルティーナさん?」
「ええ。私も昨日今日だけでもずいぶん理解が進んだわ」
ルーカスははにかみながら『それは何よりだ』と呟いた。