聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
※
丁寧にお礼を言うマルティーナと別れたあと、ウーゴとルーカスは男子寮へ戻るべく、並んで渡り廊下を歩いていた。
出し抜けに、ルーカスがパウラの名前を出してきた。
「誘わなくてよかったのか?」
「パウラとは一緒に勉強したことないよ」
「そうなのか?」
(まあ、不思議だよな)
「パウラにとって、俺ってライバルなわけよ。といっても、いっつも俺が勝ってんのね。俺に助けてもらって俺に勝利してもうれしくないだろうから、俺の力を借りずに俺に勝ってみせるんだって」
(俺だって、できるもんならルーカスみたいに放課後一緒に勉強……なんて青春を送ってみたいよ)
「それは悪かった」
「別に謝られるようなことじゃ、」
「好きなんだろう?」
「へっ!?」
ルーカスの目は茶化すことなく、真面目に訊いていた。