聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

(これは誤魔化せない……かな?)

「何でバレた?」
「すぐにそうだとわかったわけでは……君は誰に対しても友好的だから。ただ4人で休日に出かけたときに、そうなのかなと思った。少人数だったし、近くで見ていたからだな。そうでないと気づかなかったと思う」
「なるほどなー。俺のほうも内緒ね」
「ベラベラ話すようなことではないから、それはもちろんだが……」

 焦ったり困ったりはしなかった。
 これで公平だという気持ちもあったし、ルーカスが他人の色恋をバラすとは思えない。

「ウーゴは……」

 ルーカスはその先を言葉にするのに躊躇っていた。
 踏み込んで訊いていいものか判断に迷っているのだ。

「俺さ、婚約者がいるんだよね」
「そうなのか? パウラもそのことは?」
「もちろん知ってるよ」

 ウーゴの家は代々、公共事業である土木工事を請け負って、富を築いてきた。
 魔法が使えるウーゴは、幼い頃から跡取りとなることを期待されて育てられてきた。
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