聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

「いいんだって。そういう意味じゃなくても、今までパウラの頭の中は俺のことでいっぱいなんだ。これからもせいぜい試験では勝ち続けて、パウラの学生時代の思い出は俺がもらうつもり」
「何だ、それは……」
「マルティーナさんとふたりきりにしてやれなくて悪いけど、そのためにこれからも勉強教えてくれよ!」

 ルーカスが苦笑いした。

(救いは、パウラが清々しいほど恋愛には興味がないってことだな)

 『学生の身で恋愛なんてこれっぽちも興味がない』と言い切っている。

(学生の間だけでもそのままでいてほしい。誰のものにもならないで……)

 そうしてお互いが学生でなくなったとき、ウーゴはパウラではない相手と結婚するのだ。

 ワガママなことは承知している。
 それでもそう願ってしまうのだった。

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