聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

21

 父親に用があって帰省したはずが、先に母親に捕まってしまった。
 お茶くらい付き合ってもいいか、と軽い気持ちで腰を下ろしてしまったことを後悔している。

(絶対に、『先に大切な要件を済ませたい』と言って断るべきだった……)

 あれこれと質問攻めにされた挙句、『毎週末にでも顔を見せに戻ってきなさい』というお小言までもらった。
 重要なのはこれからだというのに、ようやく解放してもらえたときには、すでに疲れていた。

 そうして今ようやく父親の元にたどり着けた。

「元気にしていたか? 学院のほうはどうだ?」

 父親は、優しい笑顔を息子に向ける。
 しかし、そういった類の質問は、先ほどまでしつこいほど受けていたので、少しげんなりしてしまう。

「……充実しています。勉学、学生生活ともに」
「それは何よりだ。新しい友人はできたのか?」
「はい。身分や国籍を越えた友人ができたことは、学院に入学した最大のメリットだと感じています」
「そうか、そうか」
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