聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
父親は目尻を下げてよろこんでいる。
アーロンの父親や長兄の子孫にあたるはずだが、どちらの面影も見当たらない。
現在のアンダルイド王国は平和そのものだ。
アーロンの兄たちやアーロンが苦労して立て直した甲斐があった。
いかにも泰平の時代の国王らしい柔和な笑顔を見るたびに、そのことを実感する。
(本題を切り出すには打ってつけの流れだ)
「それで、ルーボンヌ神国より留学生が来ていることは、父上もご存知のことと思いますが」
「おお。神聖魔法の研究については都度レポートをもらっていて、私も目を通すようにしている」
「そうでしたか」
(それなら話が早い)
「神聖魔法の研究の一環として、今度彼女をブランカ宮殿に招待したいと思っていまして」
「……ブランカ宮殿?」
王子であるルーカスから国王に許可を得ることになっていたので、ブランカ宮殿を訪問する計画については、まだレポートでは触れられていないようだ。