聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
国王は両眼をかっぴらいた。
「入学早々、出会いがあったのだな!?」
(しくじった!)
「そうではなく……」
「ということは、相手はルーボンヌからの留学生なのか?」
「父上、僕の話を聞いていましたか? 『神聖魔法の研究の一環として招待したい』と言ったはずです」
「いいや、そんなものは言い訳のはずだ。ルーカス、そなたが幼い頃から今までで、唯一ワガママを言ったのがブランカ宮殿だ。まさかと思うが、そこに女性を招く意味がこの父にわからないとでも思っているのか?」
ルーカスは反論したい気持ちがあったにはあったが、『研究の一環』をダシにしてマルティーナを宮殿に連れていきたいという裏心があるのは事実だし、さらにはマルティーナに好意を抱いてもいた。
白々しい嘘を吐いたところで、たちまち見破られるだろう。
(しかし、どう答えたらいいのだろうか? 決して父上が期待しているような関係ではなく、ただの友人に過ぎないというのに……)