聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
アーロンの死後、ブランカ宮殿は王族や賓客の短期的な滞在場所と使用されている。
しかし、ルーカスが小さかった頃、父親の弟つまり叔父が結婚することになり、新婚夫婦をそこに住まわせようという案が持ち上がった。
それを聞いたルーカスは、『ブランカ宮殿は僕がほしい』と駄々を捏ねた。
これに両親は心底驚いた。
ルーカスは物心がついたときから分別があり、自分を弁えている子どもだった。
第3王子として決して出しゃばることなく、父親や兄たちを支えるべく振る舞ってきた。
そのルーカスが半狂乱になって『宮殿をくれ』などと、とんでもないワガママを言ってきたのだ。
「どうしてブランカ宮殿がほしいんだい?」
そう尋ねてみても、
「あれは僕のための宮殿だから!」
と答えるだけで、要領を得なかった。
両親は困惑したものの、弟夫妻も特にブランカ宮殿に住みたがっていたわけではなかったので、別の住まいを用意することにした。
そうして、ルーカスには『結婚したらあそこに住めばいい』と言ったのだった。