聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
※
ルーカスまで制服である必要はないはずなのに、制服を着ていた。
(合わせてくれたんだわ)
お礼を言ったところで、素っ気ない返事をされることが想像できた。
それでも一応伝えてみることにする。
「ルーカス様まで休日に制服を着てきてくださって、ありがとうございます」
「いや、1番楽だからだ。それに生徒がふたりしかいなのに、片方だけ私服というのも浮いてしまうから」
入学して半年、ルーカスの不器用さを理解していた。
マルティーナは『ふふっ』と笑ってしまった。
「えっ、何かおかしかったか?」
「いいえ、全く。ところで──」
マルティーナは、試験結果の報告と進路相談をすることにした。
「君はルーボンヌに帰らなくてもいいのか?」
「いいんです」
あの国にマルティーナの居場所はないのだ。
出発の日の朝、母親からはこう言われてしまった。
『アンダルイドでいい人を見つけたら帰ってこなくていい』と。
それは即ち、『自力で恥ずかしくない嫁ぎ先を見つけるまで帰ってくるな』という意味だった。