聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
マルティーナは神学校で落ちこぼれただけでは飽き足らず、さらにその信仰心まで疑われたのだ。
名誉を回復するために、声高に語れるだけの立派なシナリオを母親は必要としていた。
『マルティーナの魔法は異端などではなく、れっきとした自然魔法であり、しかもその自然魔法は留学先の魔法大国でも認められるほどのレベルで、だからこそ良縁にも恵まれた』と。
そのことを肌がヒリヒリするほど感じた。
(でも結婚なんて他力本願な方法ではなく、自分の魔法で自立してみたいわ)
魔法こそがマルティーナを苦しめてきた元凶なのだが、マルティーナは魔法を使う行為自体は好きなのだ。
神聖力でも自然魔力でも、与えられたことに感謝すべき力で、体内に取り込むときには何ともいえない幸福感に包まれる。
そして、それができない人たちにも、魔法という形に変えることで恩恵を分けられる。
それと、自身の魔法を認めてもらいたいという気持ちもないわけではなかった。
手のひらを返されたときに全身を蝕んだ絶望感を払拭したい──