聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
馬車が門をくぐり、ブランカ宮殿の敷地内に入った。
その途端、マルティーナは胸の前で腕を交差し、掻き抱くようにして身を丸くした。
「どうした? 気分が悪くなったのか?」
もう返事をする余裕はない。
圧倒的な力を感じ身がすくんだ。
ブランカ宮殿全体が光り、その光が空高く上がったかと思うと、すぐさまマルティーナに向かって一直線に降りてきた。
目を固く閉じ抵抗したけれど、優しくも圧倒的な力がマルティーナの体内に流れ込んでくる。
「マルティーナ?」
身体の自由が利かなくなってしまったマルティーナが座面を滑り落ちるのを、ルーカスが咄嗟に押さえた。
「マルティーナ? しっかりしろ!」
ルーカスの声は聞こえていたが、どうすることもできない。
神聖魔法とともに、誰かの想いが体内を駆け巡った。