聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
その後国王が崩御すると、アーロンは地方を周るようになり、王都へはほとんど帰って来なくなってしまった。
そして、たまに帰ってきても、ひどく疲れていた。
それならばと思い、治癒魔法を申し出ても、すげなく断られた。
淋しさは一層強くなった。
もしもヴァレリアが一緒に連れていけるだけの健康な体だったなら、状況は違っていただろうか。
必要なのは、それだけではなかったかもしれない。
王弟の妃として相応しい教養と、それから仕事を手伝える自然魔法──
(どうせ長くないなら、もう1度誰かの役に立ちたい……)
体を壊してまでも、神聖力を取り込み奉仕することが好きだったのだ。
その相手がアーロンなら一層いい、と思った。
(私と同じように孤独なあの人。いつか本当の家族のになれる日が来ればいいな)