聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました



 夜がふけてきた。
 マルティーナの容態に変化は見られない。

 学院長とベルナル先生が、交互にあくびを噛み殺した。
 慣れない場所に到着して早々、学生が意識を失ってしまったのだ。
 それから今の今まで、ずっと神経を張り詰めていたのだろう。
 
「僕はまだ大丈夫ですから、先生たちから先に仮眠を取ってきてください」
「しかし、」
「若い人のほうが睡眠は大切ですよ」
「僕はまだ眠くないですから」

 異変があったらすぐに知らせることを約束すると、ふたりは折れてくれた。
 というよりは、『仮眠』という言葉を聞いたときからますます眠気は強くなってきていて、すでに限界に達しようとしていた。

「すみません」
「よろしくお願いします」

 まぶたが半分閉じた状態で、足取りも覚束なく、それぞれに用意された部屋へと引き上げていった。
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