聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

「……何でもありません。邪魔をして申し訳ありませんでした」

 気まずい空気になりそうなところを、ベルナル先生が立て直してくれた。

「あー、では話を少し戻しますね。そう、マルティーナさんが聖女の能力を継承したと仮定して! 疑問なのは、たまたまマルティーナさんだっただけなのか、それともマルティーナさんでなければ継承できなかったのか、ということです」

 ルーカスは歯痒かった。
 それこそが、マルティーナがヴァレリアの生まれ変わりであることの証拠なのだ、と主張したかった。

 しかし、マルティーナはとぼけているわけではなく、どうやら本当に記憶がないらしい。
 この場で、前世だとか生まれ変わりだとかを持ち出せば、また3人を戸惑わせることになる。
 黙って聞くことしかできない。
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