聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
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マルティーナとパウラが女子寮に到着すると、『寮母』だと名乗る中年女性が迎え入れてくれた。
そして、寮の見取り図を使って簡単に内部の説明をしてくれた。
「まずは各自、部屋で荷解きをしてください。それが済んだら、寮内の共有スペースを自由に見て周ってもらって構いませんよ。それと夕食の時間は、18時から20時までになっています。この建物の裏に食堂があるので、その時間内の好きなときに行って食べてきてくださいね」
マルティーナたちは階段を使って2階へ上ると、ドアに表記されている部屋番号を確認していった。
「あった!」
「私も見つけたわ」
お互いの部屋は斜向かいになっている。
鍵を差し込んだドアノブを回しながら、同時に振り返った。
「ね、夕食一緒に行かない?」
「行くわ!」
「荷物の量からして、私のほうが時間かかりそうだよね」
マルティーナは自分とパウラの荷物を見比べた。
マルティーナがトランクケースひとつなのに対し、パウラはトランクケースの上にボストンバッグを乗せ、さらにリュックまで背負っている。
「私の片付けが終わったら、マルティーナの部屋に行くことでいい?」
「そうしましょう」
「じゃあ、またあとで」
「ええ、待ってるわ」
肩越しにあいさつを交わすと、ふたりはそれぞれのドアを押し開けた。