聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
今何を考えているのかは、容易に想像がつく。
先週マルティーナがこっそりと教室棟に浄化魔法をかけている間に、ルーボンヌ神国から王宮に手紙が届いたのだ。
アンダルイド王国で極めて強い神聖魔法が使用されるのを感知したが、その使用者は誰なのかを問う内容だった。
父親が学院長に書かせた回答は、ルーカスも読ませてもらった。
隠すことはできないので、簡潔に事実のみがまとめられていた。
マルティーナが、かつて聖女の暮らしていた宮殿を訪問した。
その際、宮殿に残されていたらしい魔法が、マルティーナの体内に取り込まれた。
問い合わせの魔法はそのときのものだろう、と。
(この回答を読んで、『なるほど、そうでしたか』では終わらないはずだ。ルーボンヌは次にどう出てくる? もしマルティーナを帰国させるように要求してきたら?)
こぶしを固く握り締めた。
(本人が望んでいるならまだしも、そうでないのなら絶対に守ってみせる!)
ルーカスは自身に誓ったのだった。