聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
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──ふたりは中庭に移動して、座って話すことにした。
放課後の中庭はひっそりとしていて静かで、時折小鳥のさえずりと運動部の掛け声が遠くから聞こえてくるだけだった。
ルーカスは今しがた購買で買ってきたホットミルクを、マルティーナに差し出した。
「これでよかったか?」
マルティーナが『わあ』と目を細めた。
「どうしてわかったんですか? 昔から好きなんです。飲むと心が落ち着くので」
マルティーナはヴァレリアと同じように、ゆっくりふた口飲むと、ほおっと息を吐いた。
とうに確信に変わっていたことを、改めて実感する。
(やっぱり君はヴァレリアなんだろう?)
ヴァレリアは聖女という立場でなら、誰の前であっても堂々としていた。
初めてアンダルイド王宮にやってきた、あのときもそうだった。
しかし、アーロンの妃、王族の一員として式典やパーティーに出席しなければならないときには、途端にオドオドした。
そういう場の控え室では、気持ちを落ち着かせるためにと、いつもホットミルクを飲んでいた。