聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

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 園芸部の面々は、収穫したばかりの薬草を煮出して、薬草茶を作っていた。
 事前に準備したのは鍋とカップのみだ。
 上級生を中心にテキパキと水魔法で鍋に水をはり、火魔法で沸かしてしまう。

(魔法学院のすごさを、こういうときに実感するわ)

 これが神学校なら、薪を組み、水を運んでくるところから始めなければならない。

「かんせーい。各自で取りに来てくださーい」

 そう言ったはずの上級生が、薬草茶を注いだカップを両手に近づいてきた。

「マルティーナには最初に飲んでもらわないとね!」
「あっ、ありがとうございます!」
「ついでにパウラのも持ってきてあげたわよ」
「わっ、先輩やさしーい!」

 受け取ったカップからは湯気が立ち上っている。
 マルティーナたちは、『ふーふー』と息を吹きかけてから試飲した。
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