聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

「えっ、何これ? 疲労感まで飛んでくみたい。気のせいじゃないと思う」

 パウラが目をまん丸にした。

 喉を通った薬草茶の熱が腹部に、そして全身へと広がっていく。
 薬草の摘み取り作業の際に消費した魔力が回復していく。
 それと同時に全身の倦怠感まで抜けてしまった。

 薬草で魔法使いの魔力を回復させることはできても、精神面あるいは体力面の疲労は残る。
 薬草を過剰摂取して魔法を使い続けることは、危険極まりない行為だ。
 このことは魔法使いの世界においては常識であり、留意しなくてはならない。

 そこで今回、ベルナル先生の提案により、マルティーナの治癒魔法と掛け合わせることで、魔力と併せて心身も回復させる薬草を作ろうということになったのだった。

「そうだとうれしいわ。検証してみないとまだわからないけど」

 そんなふうに言ってみせながら、マルティーナも期待以上の成果だと確信していた。
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