聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
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「マルティーナ、よかったね。これで『王子様のお墨付き』って謳える!」
パウラが体を傾けて、肩を軽くぶつけてきた。
しあわせな気持ちに浸っていたのを、ルーカスから送られた賛辞によろこんでいると思われたらしい。
「何だ、それは?」
「今マルティーナと話してたんです。マルティーナ、将来こういう方向でやっていきたいんですって」
「こういう方向? それは、薬草の生産者になるとかそういうことか?」
パウラが『ほら、言っちゃえ』と促してきた。
「その……神聖魔法は、使い手がいる場でしか効果はないんです。治癒魔法なんて特に、手で触れないと治せなくて。ですが、今回薬草と神聖魔法を掛け合わせることで、離れた場所でも効果を出せる可能性が出てました。需要があるなら、神聖魔法を遠方に届ける研究ができたらいいなと思い始めてます」
「需要ならあるに決まっている!」
(なら、卒業後も学院に残れるかしら?)